下弦の月 二十三夜
2021年 3月6日 下弦の半月
旧暦の暦では、まだ睦月、一月の二十三夜です。
下弦の月は、真夜中に登るので、真夜中の月
ミッドナイトムーンとも呼ばれています。
日本は江戸時代まで太陰太陽暦という暦を使用していました。
月の始まりは必ず新月で、一日を朔(ついたち)といいます、
朔は月が発つということで、月発ち が朔(ついたち)です。
三日月は3日目の月の状態で
十五夜は15日目でほぼ満月の状態の時です。
新月の前の日を晦日、三十日(みそか)
12月師走の最後の月を大晦日と呼びました。
太陰太陽暦は月の状態と日付が一致していたので、
23夜目の月は下弦の月の頃でした。
月を基準に暮らしてきた、我々日本人の先祖は
民間信仰として地域の人々が特定の月齢の夜に集まり、
月を待つ、月待信仰と言うものが各地域にありました。
13夜講、16夜講、19夜講、23夜講など
様々な月待ちの行事がありました。
その中でも23夜、すなわち下弦の月の月待ち行事が
特に普及しました、いまでも、二十三夜塔という石碑が
各地域に残っています。
![](https://i2.wp.com/moon-wave-project.com/wp-content/uploads/2021/03/21731354_515134012160197_8902361180764977561_n.jpg?resize=580%2C307)
そして、月待ち行事の主役は女性で、
男性は一切参加出来なかったようです。
下弦の半月が登る真夜中に女性だけが集まり、朝まで村や地域の
発展を願ったということです。
女性だけで真夜中に集まって、朝まで語り合う
今でいう女子会のような物であったと思われますが
江戸時代は、夜這い(よばい)という風習が暗黙の了解のもとで
行われていました。
なのでこの真夜中の二十三夜 下弦の半月の出るころはかなり
色っぽい夜であったと思われます。女性の排卵の時期とも
シンクロする頃です。
夜這い(よばい)とは、夜中に性交を目的に他人の寝ている場所を訪れる事で、現代では即逮捕ですが、当時は全然観念が違いました。
二十三夜の夜に、夜這いをすることを、気になる女性に宣言して
堂々と夜這いを行うことが礼儀であり、女性はその時点で了解したのであれば、その夜に受け入れる準備をして男性を待ちました
もしも、その夜に男性が夜這いをしなかった場合は女性に対しての最大の侮辱となったのです。
司馬遼太郎の『竜馬がゆく』のなかで、若い頃の竜馬が、
夜這いをする様子を上手く描いているので、ご興味のある方は
ご確認下さい。
この世は、男と女のラブゲームです。これがなければ
人類は滅びてしまいます。
現在も地方に行くと道端に古い二十三夜塔が多く残っていますが
これは、古代から続く根本の信仰である生殖器崇拝の名残です。
![](https://i2.wp.com/moon-wave-project.com/wp-content/uploads/2021/03/Inyouseki_Kobayashi_2008-1.jpg?resize=580%2C326)
三寒四温を繰り返しながら、季節は春に向かってゆきます。
季節の変わり目ですので、お身体をお大事にお過ごしください。
3月13日の新月は旧暦の二月如月(きさらぎ)が始まります。