MOON WAVE PROJECT©

ムーン ウェーブ プロジェクト

江戸時代の仲秋の名月

   

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江戸時代の浮世絵師、歌川広重の名所江戸百景の一つ
「猿わか町夜の景」という作品をご紹介します。
猿若町は現在の台東区浅草6丁目付近で浅草寺に向かう
目抜き通りでした、江戸時代の庶民の最大の娯楽は歌舞伎で
猿若町は歌舞伎小屋が集まる江戸時代の繁華街でした。
秋の満月の夜、歌舞伎を観終えた人々が帰路につく模様を
描いた作品です。この浮世絵に描かれている月の状態は
東から月が登って、1~2時間後と推測出来るので
夜の7時~8時の間頃と思われます。
江戸時代の人々の最大の夜の照明は満月の光でした
帰路につく人々の月影は当時の情景を表しています。
満月にうっすらと薄雲がかかっていますが、これは
“あてなしぼかし”という技法です、広重のセンスを感じます。
この遠近法によって描かれた作品はゴッホの、夜のカフェテラス
という作品に影響を与えたと言われています。
安政3年(1856)の作品なので、いまからちょうど160年前の
秋の夜空に浮かぶ、仲秋の頃の満月です。
160年前の江戸の町を照らす満月はさぞ美しかったのだと
想像できます。現在はこの場所から隅田川をはさんですぐに
スカイツリーがあります。都市は常に変化して移ろって
いきますが、月は当時と変わらず、天空の夜空に、輝き続けます。

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